人体と自然環境とのつながり
五行自然治癒療法は中国医学の整体観念をベースとしています。
整体とは統一性と完全性を意味しています。人体を構成している各部分は切り離して考えることができず、それぞれの機能が相互に協調し、助け合っています。全てはつながっており、一つの体となっています。
また人体は自然環境と深く関係しています。なぜなら上記で説明したように、人間の体も自然環境も全て同じ元素からつくられているという陰陽五行説に基づいているからです。もともと地球に植物や動物、人間が誕生した時には、すべてはつながっていて究極は一つ(ワンネス)であるということが根底にある上で生活していました。しかし、文明が発達するにつれて、人間だけがすべてのつながりから孤立するようになっていきました。本来つながっていたものが切り離されていったのです。時代が進むごとにあらゆる病が増えていくのもこれが大きな原因の一つと考えられます。私たち人間が本来あるべき姿を思い出し、自然とのつながりを意識することで、体は本来の状態を思い出し、体の生理活動が正常なバランスを保つようになっていくのです。
五行の特性
宇宙から生まれ、世界のすべてを創り上げたと言われている神聖なる5元素の特性を学んでいきましょう。
木の特性
中医学では、木が成長する姿は、幹や枝が曲がったり真っ直ぐになったりしながら、上へ外へ下へ伸びることから、成長、上に昇る、伸ばす、伸びやかなどの作用や性質があるものを「木」に属すと解釈します。また、人の体そのものを木に例えることができ、その人の中心、要、軸、丹田の様子、グランディングできているかどうかなどが感じとれます。
火の特性
中医学では、火には温熱があって上昇する性質のあることから、あたたかくする、明るくする、上昇する作用のあるものは「火」に属すと解釈します。
また、その人の火を感じることで、その人のあたたかみ、熱さ、喜怒哀楽の激しさ、穏やかさなどが感じ取れます。例えば怒りをコントロールできない人は燃え盛りすぎて火事のようになっています。
土の特性
中医学では土に種をまいたり農作物を収穫することから、生み出す、物を載せる、受け入れるなどの作用があるものを土に属すと解釈します。
そのため「土は土を除いた他の4つの元素を含むことができる」、「万物は地中から生まれ、万物は土の中に還る」、「土は万物の母である」といいます。
また、その人の母性や広さを感じ取ることができます。
金の特性
中医学では、改革、変革の質があり、清潔、浄化の作用があるものは金に属すと解釈します。
また、その人の自制心や変化への柔軟性、強さ、動じなさ、頑固さ、父性、浄化力を感じ取ることができます。
水の特性
中医学では、水には潤したり下に向かう性質があることから、寒涼、湿らせる、下に向かう作用のあるものは水に属すと解釈します。
また、その人の癒し(奉仕精神)、柔軟さ、冷静さ、浄化力を感じ取ることができます。
五行の相生、相剋
五行の「行」とは廻り回る(めぐりめぐる)という意味です。つまり、五行説とは「木火土金水」の五気がこの順序で回りつつ相互に影響しあうという原理なのです。そして五行には「相生」「相剋」という関係があります。
【相生→】
順送りに相手を生み出していく関係。互いを育んでいく母と子のような関係とも言われます。
→木は火を生む(木は燃えて火を生む。)
→火は土を生む(物が燃えればあとには灰が残り、灰は土に還る。
→土は金を生む(鉱物・金属の多くは土の中にあり、土を掘ることによってその金属を得ることができる。)
→金は水を生む(金属の表面には凝結により水が生じる。)
→水は木を生む(木は水によって養われ、水がなければ木は枯れてしまう。)
【相剋⇝】相手をコントロールする関係。
⇝木が土を剋する(木は根を地中に張って、土から養分を取って生長する。)
⇝土が水を剋する(土は水を吸い取り、あふれようとするものをせき止める。)
⇝水は火を剋する(水は火を消し止める。)
⇝火は金を剋する(火は金属を熔かす。)
⇝金は木を剋する(金属は木を切ったり調節したりする。)
五行と内臓の関係について
肝臓―(胆のう)
① 蔵血作用(血を蓄えます。)
② 血や気を全身の末端まで運びます。
*その他、筋と目と関係します。
<常見症>
・イライラしやすい、怒りっぽい
・ろっ骨痛
・めまい、ふるえ
・疲れ目、視力低下
・耳鳴り(高い音)
【五 行 】 木
【 感情(志)】 怒
【 色】 青
【季節】 春
【味】 酸
心臓―(小腸)
① 血の循環
② 精神(心)のコントロールをします。(*弱いとうつになったり、反応が遅いなどの症状がでます。)
*その他、汗と関係します。
<常見症>
・失眠多夢
・動悸
・心痛
・もの忘れ
・うわごと
【五行】 火
【感情(志)】喜
【色 】 赤
【季節 】 夏
【味】 苦
脾臓―(胃)
① 運化作用(消化と運搬)の働きがあります。
② 昇清作用(上にあげる働きがあります。)
③ 統血作用(血をつくり、コントロールします。*弱いと内出血、不正出血が起こりやすい、血が止まりにくいなどの症状がでます。)
④ 固摂作用 (あるべきところにとめておく作用があります。*弱いと下痢、胃下垂などになりやすいです。)
*その他、口、肌、肉と関係します。
<常見症>
・食欲不振または過食
・むくみ
・ひざの前側が痛い
・股関節が痛い
【五行】 土
【感情(志)】思
【色 】 黄
【季節 】 土用
【味】 甘
肺―(大腸)
① 気をつかさどります。(呼吸で気をコントロールし、巡らします。)
*その他、鼻、鼻水と関係します。
<常見症>
咳、胸痛、風邪
【五行】 金
【感情(志)】悲
【色 】 白
【季節 】 秋
【味】 辛
腎臓―(膀胱)
① 水をつかさどります。
② 気を蓄えます。
*その他、骨、耳、生殖器(排尿時の痛み、頻尿、不妊症など)、髪(うすい、白髪)と関係します。
<常見症>
・腰が重だるい。
・ひざの後ろ側が痛い。
・耳鳴り(低い音)
【五行】 水
【感情(志)】恐、驚
【色 】 黒
【季節 】 冬
【味】 塩辛い